肩こりのとき筋肉はどうなっている?ガチガチに硬くなる仕組みをわかりやすく解説
肩が重い、ガチガチに張っている、なんとなくだるい。
そんな肩こりを感じたとき、「そもそも筋肉はどうなっているんだろう?」と気になったことはありませんか?
肩こりというと「筋肉が硬くなっている」「血流が悪くなっている」とよく言われますが、実際にはそれだけで単純に説明できるものではありません。
首や肩まわりの筋肉が長時間働き続けることで、筋肉の緊張や血流、代謝などにさまざまな変化が起こり、それが重さやだるさ、痛みになると考えられています。
この記事では、肩こりのとき筋肉がどうなっているのかを、僧帽筋や肩甲挙筋などの働きも交えながらわかりやすく解説します。
肩こりを「なんとなくつらいもの」で終わらせず、まずは自分の肩で毎日働いている筋肉たちをのぞいてみましょう。
それでは、筋肉博物館の肩こり展示へご案内します。
肩こりのとき筋肉はどうなっている?
肩こりを感じているとき、肩の筋肉ではいったい何が起きているのでしょうか。
単純に「筋肉が硬くなっている」だけではありません。
まずは、肩こりが起きているときの筋肉の状態を順番に見ていきましょう。
筋肉が緊張した状態が長く続いている
肩こりが起きているときは、首や肩まわりの筋肉が緊張した状態が長く続いています。
筋肉というと、重い物を持ったり体を動かしたりするときに働くイメージがありますよね。
しかし筋肉は、私たちが動いているときだけ働いているわけではありません。
たとえばデスクワーク中でも、頭が前に倒れないように支えたり、腕の位置を保ったりするために、首や肩の筋肉は小さな力を出し続けています。
このように同じ姿勢が長時間続くと、筋肉は「小さな負荷がずっと続く」状態になります。
特に肩こりと関係の深い僧帽筋や肩甲挙筋などは、頭や肩甲骨を支えるために働き続けやすい筋肉です。

つまり、何もしていないように見えても、肩の筋肉にとっては休めていないことがあるのです。
この持続的な筋肉の緊張が、肩こりにつながる要因のひとつと考えられています。
筋肉の血流やエネルギー代謝にも変化が起こる
筋肉が緊張した状態が続くと、筋肉の中を流れる血液にも影響が出ることがあります。
筋肉の中には細かな血管がたくさん通っています。筋肉が力を出し続けると、その血管が圧迫され、筋肉への血流が低下することがあるのです。
ここで覚えておきたいのが、筋肉はじっと姿勢を支えているだけでもエネルギーを使っているということ。
筋肉が収縮するためには「ATP」と呼ばれるエネルギーが必要で、そのエネルギーを作り続けるためには酸素や栄養素が欠かせません。
ATP(アデノシン三リン酸):筋肉を動かすときに使われる、体内のエネルギー源。よく「体のエネルギー通貨」とも呼ばれます。
つまり、首や肩の筋肉が長時間働き続けると、
筋肉が緊張する
↓
筋肉内の血管が圧迫される
↓
血流や酸素の供給に変化が起こる
↓
筋肉のエネルギー代謝にも影響する
といった変化が起こる恐れがあります。
よく肩こりは「血流が悪くなって老廃物がたまるから起こる」と説明されますが、実際の肩こりはそれほど単純ではありません。
筋肉の緊張や血流、エネルギー代謝、痛みの感じ方など、いくつもの要素が関わっていると考えられています。
肩こりで感じる「重い」「だるい」という感覚の裏では、動いていないように見える筋肉がずっと働き続けているのです。
重さ・だるさ・痛みとして肩こりを感じる
筋肉の緊張や血流、エネルギー代謝の変化が続くと、私たちはそれを「肩が重い」「だるい」「張っている」「痛い」といった感覚として感じることがあります。
ただし、肩こりは筋肉の状態だけで決まるわけではありません。
筋肉やその周辺には、刺激を感じ取る神経があります。
筋肉への負担が続くことでこうした神経が刺激されると、その情報が脳へ伝わり、不快感や痛みとして認識されます。
さらに、疲労やストレス、睡眠不足などによっても痛みの感じ方は変わるため、同じような姿勢で過ごしていても肩こりの感じ方には個人差があります。
つまり肩こりは、「肩の中にこりという物質がたまっている」というものではありません。
筋肉の緊張や血流、代謝、神経による感覚など、いくつもの要素が重なった結果として、重さやだるさ、痛みとして感じていると考えるとわかりやすいでしょう。
肩こりは単に「筋肉が硬くなった状態」ではなく、筋肉を中心にさまざまな変化が重なって感じる症状なのです。
そもそも筋肉がどのように体を動かしているのかは、こちらの記事でも詳しく解説しています。
そもそも肩こりとは何?
「肩こり」という言葉はよく使いますが、実は肩だけに起こるものではありません。
一般的には、首すじや首のつけ根から肩、背中にかけて感じる「張り」「こり」「重さ」「痛み」などを肩こりと呼んでいます。
人によっては、頭痛や吐き気を伴うこともあります。
日本整形外科学会では、肩こりに関係する筋肉の中でも、首の後ろから肩、背中まで広がる「僧帽筋」が中心になるとされています。
ただし、肩こりには「ここが悪くなれば必ず起こる」という一つの原因があるわけではありません。
長時間の同じ姿勢や前かがみの姿勢、運動不足、精神的なストレスなど、さまざまな要因が関係します。
つまり肩こりとは、単に「肩の筋肉が硬くなること」を指しているのではなく、首から肩、背中周辺に現れる不快な症状をまとめて表したものと考えるとわかりやすいでしょう。
では、その肩こりには具体的にどの筋肉が関係しているのでしょうか。
次は筋肉博物館らしく、肩こりに関係する筋肉たちを詳しく見ていきましょう。
肩こりにはどの筋肉が関係している?
肩こりに関係する筋肉は、一つだけではありません。
首から肩、肩甲骨まわりにはたくさんの筋肉があり、それぞれが頭を支えたり、肩甲骨を動かしたり、姿勢を保ったりしています。
その中でも肩こりと深く関係しているのが、僧帽筋・肩甲挙筋・菱形筋などの筋肉です。
「肩がこっている」と感じていても、実際には首から肩甲骨にかけて複数の筋肉が関係している可能性があるのです。
ここからは、肩こりに関係する代表的な筋肉を一つずつ見ていきましょう。
僧帽筋|肩こりの中心になりうる大きな筋肉

僧帽筋(そうぼうきん)は、首の後ろから肩、背中の上部まで広がる大きな筋肉です。
背中側から見ると、左右を合わせてひし形のような形をしており、肩こりと特に関係が深い筋肉の一つです。
僧帽筋の主な仕事は、肩甲骨を動かしたり、首や肩まわりを安定させたりすること。
今この記事をお読みになっているみなさんも、腕を上げる、肩をすくめる、肩甲骨を寄せるなどしてみてください。
その時にメインで動いているのが僧帽筋です。
また、デスクワークやスマホ操作などで頭や腕の位置を保っているときにも、首や肩を支えるために働き続けてくれています。
そのため、同じ姿勢が長時間続くと僧帽筋への負担も続きやすくなります。
肩こりというと、つい肩の一部分だけに注目してしまいがちですが、僧帽筋は首から背中まで広がるかなり大きな筋肉です。
肩こりを理解するうえでは、まず知っておきたい代表的な筋肉といえるでしょう。
肩甲挙筋|首と肩甲骨をつなぐ筋肉

肩甲挙筋(けんこうきょきん)は、首の上部から肩甲骨の内側上部につながっている細長い筋肉です。
その名前のとおり、主な役割は肩甲骨を上に引き上げること。
肩をすくめる動きでは、先ほど紹介した僧帽筋と一緒に働きます。
また、肩甲骨を固定した状態では、首を横に倒したり、顔を左右に向けたりする動きにも関わっています。
肩甲挙筋も、デスクワークやスマホ操作などで負担がかかりやすい筋肉の一つです。
特に頭が前に出た姿勢や、肩を少しすくめた状態が長く続くと、首と肩甲骨をつなぐ肩甲挙筋にも負担が続きやすくなります。
そのため、「首のつけ根から肩甲骨の上あたりが重い」「首を動かすと張る」といった肩こりでは、肩甲挙筋が関係していることがあります。
僧帽筋ほど大きな筋肉ではありませんが、首と肩甲骨をつないでいるからこそ、肩こりを理解するうえで知っておきたい筋肉です。
菱形筋|肩甲骨を支える筋肉

菱形筋(りょうけいきん)は、背骨と肩甲骨の内側をつないでいる筋肉です。
名前のとおり、左右に広がるとひし形のような位置関係にあり、肩甲骨を背骨側へ引き寄せたり、肩甲骨の位置を安定させたりする役割があります。
たとえば、胸を張るように肩甲骨を後ろへ寄せる動きでは、菱形筋がしっかり働きます。
一方で、デスクワークやスマホ操作などで前かがみの姿勢が続くと、肩甲骨が外側へ開いた状態になりやすく、菱形筋にも負担がかかります。
そのため、「肩甲骨の内側が重い」「背中の上のほうが張る」といった感覚では、菱形筋が関係していることがあります。
肩こりというと首や肩ばかりに目が向きますが、肩甲骨まわりの筋肉も無関係ではありません。
肩甲骨を支えている菱形筋も、肩こりを理解するうえで知っておきたい筋肉の一つです。
なぜ何もしていないのに肩の筋肉は疲れるの?
「特に重い物を持ったわけでもないのに、なぜか肩が疲れる」
そんなことがありますよね。
実は筋肉は、大きく動いているときだけ働くわけではありません。
デスクワークやスマホ操作では、頭や腕の位置を保つために、首や肩まわりの筋肉が小さな力を出し続けています。

特に頭が前に出たり、腕を体の前に出した姿勢が続いたりすると、僧帽筋や肩甲挙筋などに負担がかかり続けることになります。
つまり、
動いていない=筋肉が休んでいる
とは限りません。
肩こりでは、筋肉を大きく使いすぎるというより、「小さな力を長時間出し続けること」が負担になっている場合も多いのです。
肩がガチガチ=筋肉が縮んでいるということ?
肩を触ったときに「ガチガチに硬い」と感じると、筋肉がギュッと縮んで、そのまま固まっているように思いますよね。
しかし、肩こりの筋肉は石のように固まっているわけではありません。
デスクワークやスマホ操作などで同じ姿勢が続くと、首や肩まわりの筋肉は頭や腕を支えるために、小さな力を出し続けます。
すると筋肉の緊張が続き、筋肉の中の圧力も高まりやすくなります。
イメージすると、
筋肉が長時間働き続ける
↓
筋肉の緊張が続く
↓
筋肉内の圧力が高まりやすくなる
↓
血流や代謝にも影響する
↓
張ったように硬く感じる
という流れです。
つまり「肩がガチガチ」というのは、筋肉が縮んだまま固定されているというより、筋肉が十分に力を抜けず、緊張した状態が続いているイメージに近いでしょう。
ただし、肩こりの感じ方は筋肉の硬さだけで決まるものではありません。
血流や神経、疲労、ストレスなども関係するため、「硬いほど肩こりがひどい」と単純に判断できるわけでもないのです。
肩こりの硬さは、長時間頑張り続けた筋肉からのサインの一つと捉えるのがよいでしょう。
肩こりを楽にするには筋肉を休ませるだけでなく動かすのがポイント
肩がこると、「できるだけ肩を使わず休ませたほうがいいのでは?」と思うかもしれません。
もちろん無理をしないことは大切ですが、肩こりでは休ませるだけでなく、首や肩甲骨まわりを適度に動かすことも大切です。
そのため、長時間じっとしている状態から抜け出し、こまめに姿勢を変えたり、首や肩甲骨を動かしたりすることがポイントです。
ここからは、毎日の生活の中で肩まわりの筋肉をいたわる方法を見ていきましょう。
同じ姿勢を長時間続けない
肩こり対策でまず意識したいのが、同じ姿勢を長時間続けないことです。
どれだけ姿勢を整えていても、同じ状態が続けば首や肩まわりの筋肉は頭や腕を支えるために働き続けます。
そのため、「ずっと正しい姿勢でいよう」と頑張るよりも、こまめに姿勢を変えることが大切です。
デスクワークなら、ときどき立ち上がったり、肩を回したり、腕を伸ばしたりするだけでも構いません。
大切なのは、同じ筋肉だけに長時間仕事をさせ続けないこと。
一度姿勢をリセットする時間をつくり、頑張り続けている肩まわりの筋肉に休むきっかけを与えてあげましょう。
温めて筋肉をリラックスさせる
肩まわりを温めることも、肩こりを和らげる方法の一つです。
温めることで血管が広がり、肩まわりの血流がよくなると共に、温かさによって筋肉の緊張がゆるみ、力を抜きやすくなります。
入浴で体を温めたり、蒸しタオルを首や肩に当てたりするだけでも取り入れやすいでしょう。
特にデスクワークやスマホ操作のあとに肩が張っているときは、頑張り続けた筋肉を休ませる時間として温めるのもおすすめです。
ただし、強い痛みや腫れ、熱を持っているような場合は、自己判断で温めず医療機関に相談してくださいね。
適度な運動を取り入れる
肩こり対策では、適度に体を動かすことも大切です。
運動すると筋肉が収縮と弛緩を繰り返すため、肩まわりの血流が促されやすくなります。
また、普段あまり動かしていない肩甲骨や腕を動かすことで、同じ筋肉ばかりに負担が集中する状態から抜け出しやすくなります。
運動といっても、いきなり激しい筋トレをする必要はありません。
ウォーキングをしたり、肩をゆっくり回したり、腕を大きく動かしたりするところからで十分です。
大切なのは、肩がこってから一気に動かすのではなく、日頃からこまめに体を動かす習慣をつくること。
筋肉は休ませるだけでなく、適度に動かしてあげることで本来の働きを保ちやすくなる存在ですよ。
筋肉を鍛えると体の中で何が起こるのか知りたい方は、こちらも参考にしてください。
肩こりは筋肉だけが原因とは限らない
ここまで肩こりと筋肉の関係を見てきましたが、すべての肩こりが筋肉への負担だけで起こるわけではありません。
長時間の同じ姿勢や運動不足、ストレスなどが関係することもあれば、首の骨や神経、肩関節などの不調に伴って肩こりのような症状が現れることもあります。
そのため、「肩がこっているから筋肉をほぐせば大丈夫」と決めつけないことも大切です。
特に、腕や手にしびれがある、力が入りにくい、強い痛みが続く、いつもの肩こりとは明らかに違うと感じる場合は、無理に自分で対処せず医療機関へ相談しましょう。
肩こりを筋肉から理解することは大切ですが、「筋肉だけが原因とは限らない」ということも覚えておいてくださいね。
肩こりと筋肉についてよくある疑問
肩こりは筋肉が硬いから起こる?
筋肉の緊張や硬さは肩こりに関係しますが、それだけが原因ではありません。
血流や神経、姿勢、疲労、ストレスなど、さまざまな要素が重なって肩こりを感じると考えられています。
肩こりは揉めば治る?
揉むことで一時的に楽になることはありますが、原因そのものが解消されるとは限りません。
強く揉みすぎるとかえって痛みが出ることもあるため、無理にほぐすより、姿勢を変えたり適度に体を動かしたりすることも大切です。
肩こりに筋トレは効果がある?
適度な筋トレは、肩や肩甲骨まわりの筋肉を動かす習慣づくりとして役立つことがあります。
ただし、肩こりを治すために高重量のトレーニングをする必要はありません。まずは無理のない運動から始めましょう。
筋トレというと筋肉を大きくするイメージがありますが、筋肥大と筋力アップは少し仕組みが異なります
肩を回すだけでも意味はある?
あります。
肩や肩甲骨を動かすことで、同じ姿勢で働き続けていた筋肉を動かすきっかけになります。
仕事やスマホ操作の合間に、痛みのない範囲でゆっくり動かしてみましょう。
肩こりと五十肩は同じもの?
同じものではありません。
肩こりは首から肩、背中にかけての張りや重さなどを指すことが多いのに対し、五十肩では肩関節の痛みや動かしにくさが主な症状です。
腕が上がりにくい、肩を動かすと強く痛むといった場合は、単なる肩こりと決めつけず医療機関に相談しましょう。
肩こりのとき筋肉はどうなっている?まとめ|仕組みを知れば体との付き合い方が見えてくる
肩こりを感じているとき、首や肩まわりの筋肉では、長時間の姿勢を支えるために緊張が続き、血流やエネルギー代謝などにも変化が起こっていると考えられています。
特に関係が深いのが、僧帽筋や肩甲挙筋、菱形筋といった首から肩甲骨まわりの筋肉たちです。
デスクワークやスマホ操作では、ほとんど体を動かしていないように見えても、これらの筋肉は頭や腕を支えるために小さな力を出し続けています。
つまり肩こりは、単純に「筋肉を使いすぎたから起こる」というより、同じ筋肉が長時間休めずに働き続けることで起こりやすくなるのです。
だからこそ肩まわりの筋肉をいたわるには、ただ休ませるだけではなく、以下の習慣が大切になってきます。
・同じ姿勢を長時間続けない
・肩や肩甲骨をこまめに動かす
・入浴などで温める
・日頃から適度に体を動かす
肩が重いと、「また肩こりか」と嫌になってしまうこともありますよね。
でも少し見方を変えてみると、その重さは頭や腕を支えるために、首や肩の筋肉たちが毎日働いてくれている証拠でもあります。
肩こりの仕組みを知ることは、自分の体がどんなふうに働いているのかを知ることでもあります。
次に肩が重いと感じたときは、ただ「こっている」と思うだけでなく、「今日もこの筋肉たちが頑張っていたんだな」と少し思い出してみてください。
そしてその筋肉をぜひ労ってあげてください。
自分の筋肉を知ることが、これからの体と上手に付き合っていくきっかけになれば、筋肉博物館の館長としてこれほどうれしいことはありません。
